◆初めて買ってもらったゲームはポケモン金だった。相当な時間プレイしたはずだけど、あまりに幼すぎてしっかりとした記憶がない。ただ、正方形によって仕切られたドットで表現されたグラフィックと、矩形波と波形メモリとノイズによる音楽と、読みすぎてやつれた攻略本のあの手触りはいまだに残っている。そういえば自分はポケモンが大好きだった。筆箱も下敷きもナフキンも全部ポケモンだった。なにも覚えちゃいないけど、アニメだって毎週見ていた。
◆唐突に10何年かぶりにポケモンをすることになった。経緯というのも友人に誘われたためで、幾分受動的なものだった。友人がスカーレットを買っていたので、ヴァイオレットの方を買った。紫が好きなのでこれはよかった。人生初スマホのXperia Zも紫色に惹かれて買ったようなものだし、なんならポケモン金と一緒に買ってもらったゲームボーイカラーもクリアパープルだった。ポケモンパンについてきたニャースのシールを貼っていた。
◆全てが新鮮だった。主人公の頭身が高くなって、ランダムエンカウントでは無くなっていた。集団のハネッコがその辺をうろついていて、こっちを向いて歩いてくる。好奇心旺盛なようだ。これには参った。あまりに可愛すぎる。俺はこいつと旅に出る。そうしてスクスクと育っていく*1。育つと進化をするので、姿形が変わってしまう。それがこんなに寂しいものだとは思っていなかった。進化を止める方法もあるのだけれど、それが正しい行為のようにも思えなかった。人は変わる。それと一緒で、ポケモンも変わるのだ。ハネッコがポポッコになって、最後にはワタッコになる。みんな可愛いのには相違ないが、やっぱり最初が一番可愛い気がする。子育てだって多分おんなじだと思う。そういえば、ハネッコの小さなぬいぐるみが我が家に居たような朧げな記憶がある。本当にあったかは定かではないし、なぜあったかも覚えていない。あったとして、いつ消えてしまったかもわからない。ただ弟もいたと証言してたから、多分居たのだろう。*2