浅窓の平常

To the happy (or unhappy) few

魔女がやってるカレー屋

◆最近弊社の近くにカレー屋がオープンした。多分ほとんどの人が気づいていないんじゃないかと思う。少なくともグーグルマップは気づいていなかった。花輪を飾るとまではいかずとも、開店したら開店したなりのアピールをするものなのに、そういうのは一切なく、ずっと前からありましたよ、というような雰囲気で佇んでいる。そいつは雑居ビルの奥まったところにあって、入り口に辛うじて看板がある。その看板から読み取れるのは、カレーの写真と、Japanese Yen Onlyの文字のみ。どんなカレーを出してるのか、値段はどのくらいかもわからない。行くしかない。

◆行った。おばあちゃんとおばちゃんの中間みたいな方がワンオペで切り盛りしていたが、別に自分一人しか居ないので余裕だった。自分のカレーをサーブしたあとは、一心にカレーの大鍋を混ぜていた。まさに魔女だった。あまりの商売っ気のなさから、味に関しては全く期待していなかったのだが、正直想定より美味しかった。少し辛めの、食べたことのないのに食べたことのあるような、なんかそんな感じのカレー。ただ値段も想定より高く、リピートしたくなる感じでもない。そもそもリピートするほどお店が続くのだろうか。次行ったら幻のように消えているような気がしてならない。というか今日の出来事が幻かもしれない。カレー屋なんて実際は存在していなくて、カレーが食べたい自分が作り出した虚像に過ぎないのかもしれない。帰り際スタンプカードをもらった。7回食べるとカレーが一杯無料になるようだ。スタンプカードが埋まるときは果たして来るのだろうか。貰ったスタンプカードが次の日木の葉になってたりしないだろうか。