浅窓の平常

To the happy (or unhappy) few

◆やむにやまれぬ事情で海にいた。海は好きではない。生命に満ちているからだ。魚がウジョウジョいて、海藻がうごめいていて、貝がへばりついていて、フナムシが触覚を揺らしながら岸壁を這いずり回っている。命が生き生きしてるのだ。だから好きになれない。フナムシが自分の身体に上がってくることが数度あって辟易した。フナムシというのは基本的に逃げていく生き物である。その中で自分に向かってくる個体は、よほど勇敢なやつなのだろう。その時点で相容れない。自分がフナムシだったら一生岩の奥のほうでじっとしているはずで、その意味でも仲良くなれない。