浅窓の平常

To the happy (or unhappy) few

ワオキツネザルのワオってなんだよ

世の中わかんないことだらけで、例えばワオキツネザルのワオってなんなのって思う。ワオの意味は? 由来は? 合宿免許ワオとの関係は? 調べてみませんでした。いかがでしたか?

まあ正直ワオキツネザルはどうでもいい。ワオキツネザルよりわかんなくて、どうでもよくないものがあるんだけど、それは死です。死ってちょっとよくわかんなくない? 俺はよくわかんないんだけど。少し前に祖父が死んだのだけれど、亡骸を見ても焼かれたあとの骨を見ても、「あ、死んだんだ」という実感もあまりしなくて。それは自分以外もそうかもしれないし、だからこそ葬式みたいな儀式を執り行うことで一つの区切りをつけるのかもしれない。

なんか高校の頃、中学の同級生が病気で死んだんだけど、その子の葬式に参加したときもよくわかんなかった。周りはワンワン泣いてるんだけど、お前ら別にそいつと仲良くなかっただろと思いなんだか萎えてしまった。それとお坊さんの唱えるお経が面白くてちょっと笑いそうになってしまった。帰り道、中学のとき好きだった子と少し話せてラッキーだなと思った。制服の赤いリボンがきれいだった。

二年前、人生が自己ワーストにしんどかったころ、夜中によくマンションのベランダから飛び降りる妄想をしていた。そうでもしないと耐えられなかったからだ。空気抵抗を無視すれば、ルート2ghの速さでアスファルトにぶつかる。マンションの7階はだいたい20mだから、重力加速度10m/s2としてやれば、20m/s。ボルトの全速力の2倍くらいの速さでアスファルトにぶつかっていく。よくわからないが、とても痛いんだろう。痛いどころか死ぬのかな。死ぬかもしれない。

そんな妄想ばかりをしていた頃、近所のドブ川で川辺の亀が甲羅干しをしているのを見た。なぜかよくわからないが、それを見てもう少しだけ生きてみようと思った。その思いが持続しているおかげか自分は生存している。あの頃はなぜそんなに苦しかったのか、今ではよくわからない。痛みは薄れていくようだ。消えてしまうことはないけれど。