浅窓の平常

To the happy (or unhappy) few

抽象を振りかざしたい秋

キンモクセイの香りに浮かれて、身も心もどこかへ旅立ってしまいそうだけど、一方で現実はあまりに現実である。具体的な話はしたくない。抽象を振りかざしたい秋である。

◆人にはそれぞれの地獄があり、会社にもそれぞれの地獄があるようで、もちろん弊社にも地獄がある。弊社、はぐれ者というか、不器用な人ばかりで構成されている。だからこそ自分も拾ってもらったのだけど、まあそういう感じの人間が集まったゆえの宿痾というか、そんなものがある。不器用な人間同士でなんとかかんとか仕事をやっているのだが、優等生みたいに正しいことばかりできるわけではない。それはもう仕方ないことだと思うけど、それを減らそう、なくそうという方向にも進まない。失敗に対して寛容なのはいいが、失敗に対して責任を取るシステムもない。人手不足だし、はぐれ者同士ゆえにどうにも共依存的な部分もあり、自浄作用が期待できない。

◆やらかした人がいる。やらかした人に甘い人がいる。やらかした人に憤ってる人もいる。やらかした人に甘い人に憤ってる人もいる。すべての人の言い分に三分以上の理があるように思える。この世界の登場人物が、きれいに善と悪に分かれてたら楽なんだけど、そうはなってなくて、ある人は一方では被害者であり、加害者でもあり。自分も被害者であり、加害者であり。誰かを庇えばそれはすなわち別の誰かの攻撃になる。世界は難しい。なにもわからない。それは通学カバン背負ってた頃から相変わらずだ。ただいたずらに年を重ねたぶん、なんとなくわかった気になって、わかったような口を利いたりする。遠くの国の戦争のこと、全然よくわかってないけど、イギリスが悪いなんて嘯くような軽薄さ、無神経さも身につけた。俺は俺が小さい頃嫌いだった大人というやつになれてるのかもしれない。