浅窓の平常

To the happy (or unhappy) few

◆昔に比べてだいぶネットを見なくなったなあと思う。いや、ネット自体は継続的に見ているのだけれど、見ているのはWikiだったりまとめサイトだったりニュースサイトだったりの、アクを丹念に漉したコンソメスープみたいなやつしか目にしていない。今この瞬間に発せられてるであろう、雑味のある強い言葉というものにもうしばらく触れていない。そういった言葉を摂取し続けながらも平静を保つというのは、結構独特のスキルを必要とする。とりわけ匿名空間で書かれる言葉たちには、油断しているとすぐに絡め取られてしまう。誰でもない人間が、誰でもない誰かへ書く言葉。そこに宿るメッセージは切実で、だからこそ面白いのだけれど、その言葉たちに宿る感情に自分もつられてしまったりもする。そうならないようにするには、頭の一部分をシャットオフする必要がある。言葉の意味自体を読み取りながらも、そこから伝わる情念については(それがネガティヴなものならば特に)距離をおけるように。一時期増田を狂ったように読んでいた時期は、自然にこういうことができていた。それでもうまくいかないことも 多かった。しょうもない言葉で腹が立ってコメントを書き捨てることもあった。今はこのスキルも衰えてしまって、昔ならば気にもとめないような、コンソメスープに浮かんだ言葉ですらいらいらしてしまうこともある。