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帰省、或いはアスペルガー症候群について

 少し前から、地元へ帰省中である。ビール片手に、焼き鳥串をつまみながら談笑していると、「東大生の何割かが自閉症?かなんからしいが、お前の大学はどうなんだ?」と、父親がよく分からぬ質問を投げかけてくる。そういえば少し前に、はてブで下の記事を見かけた。ネット中毒もたまには役に立つものである。


www.j-cast.com


 この記事が信憑性に欠けるものであることをまず指摘し、でもまあそういう傾向の人は多い気もするよ、と同意を示した。その後、自閉症自閉症スペクトラムの違いを説明する羽目になった。すると、「なんだかんだ自然に治るんだろう?そうでもないと社会でやっていけないもんな」と無理解の典型例のような返答をする。

 自然と、ビールを飲むペースが早くなった。素面ではこの話題をやり過ごすことは難しい、と精神が判断したのだ。というのも、自分もその自閉症スペクトラムとやらの一員かもしれない、という認識があったためである。

・想像力が乏しい
・話し方が大人びている
・相手の目を見て話しをしない
・コミュニケーションを取ることが苦手
・会話がかみあわない
・手足を使うことに不器用
・運動が苦手
・手順にこだわる
・言葉に抑揚がない
・相手の気持ちが分からない
・単調で一本調子のしゃべり方をする
・形のないものに対して極端に理解が乏しい
・表情やしぐさから相手の気持ちを察することが苦手
・規則を守ることが得意
・物事の理解は出来き、レベルがかなり高い場合もある
・特定のモノに対して尋常でないほど興味を示す
・文字や日付や記号などを覚えるのが得意である
・字や数字や絵を描くことなど独特な才能を持っている場合がある
アスペルガー症候群の子供の特徴は、意外に多い!例えば…

 上の文章は、アスペルガー症候群の幼児がよく示す症状を記したものだ。自分に心当たりのあるものをざっと挙げていくと、まず、相手の目を見て話すことは未だにできない。手先が不器用で、中学に入るまで靴紐を結ぶこともできなかった。勿論運動も大の苦手。規則的なものは好きで、幼少の頃は説明書やら辞書ばっかり読んでいた。小さい頃は人の気持ちが分からず、癇癪持ちだった。3歳まで全くと言っていいほど喋ったことがなく、心配だった、と母親から聞いたこともある(上には載っていないが、言語発達の遅れが見られることもあるそうだ)。

 ただ不思議なのは、自分が今アスペルガー症候群の症状を示しているかというと、決してそうではないということだ(外から自分を見ないかぎり、ホントのところは分からないが)。昔と違って、こだわりなんてほとんどないし、幼少の頃のような生きづらさを覚えることもない。空気だってそれなりに読めているんじゃなかろうか。仮に幼少の頃アスペルガー症候群だったとすると、「自然に治るんだろう?」という父親の無遠慮な言葉は、奇しくも自分の場合には当てはまったのだ。今の僕に言えることは、幼少期の自分は、アスペルガー症候群らしき症状があった。それだけだ。

 今回の出来事で感じたのは、自分は自閉症スペクトラムのことを全然よく分かっていないなあ、ということだ。当事者に近い立ち位置の自分ですらこれなのだから、無関係の人ならばさっぱりわからないのも至極当然なことであると思う。ついでに言うならば、上の記事も、「当事者に近い立ち位置の人間」による漠然とした知識によって成り立っているようにも見える。それは非常に危ういことだ。